産後骨盤矯正

産後骨盤矯正とは、妊娠・出産というプロセスによって緩み・開き・ゆがんでしまった骨盤を、専門的な手技やアプローチによって正しい位置と機能に戻していく施術です。
従来の美容整体のようなイメージとは異なり、近年の周産期リハビリテーションの観点では、産後骨盤矯正将来の健康を守るための、予防医療的なケアとして非常に重要視されています。
骨盤は身体の土台です。
この土台が不安定なまま固まってしまうと、腰痛や肩こりといった慢性痛だけでなく、数年後、数十年後に尿もれや骨盤臓器脱といった深刻な機能障害を引き起こすリスクが高まります。
当院の産後骨盤矯正は、単に骨盤を締めるだけでなく、骨盤を支える筋肉を再教育し、育児という重労働に耐えうる機能的で安定した身体を再構築することを最終目的としています。

産後の骨盤のゆがみは、出産そのものだけで起こるわけではありません。
その主な原因は、妊娠期間中から始まる2つの大きな身体的変化にあります。

ホルモン「リラキシン」による
靭帯の弛緩

妊娠が成立すると、女性の身体はリラキシンというホルモンを分泌します。
このホルモンは、赤ちゃんが産道をスムーズに通れるよう、骨盤の関節を強固に支えている靭帯を緩める働きがあります。
これは出産に必要な生理的変化ですが、同時に骨盤は非常に不安定で「グラグラ」な状態になります。
このリラキシンの影響は産後もしばらく続くため、不安定な骨盤のまま育児の負荷がかかることで、ゆがみが助長されてしまうのです。

妊娠中の姿勢変化

妊娠中期から後期にかけてお腹が大きくなると、母体の重心は著しく前方へ移動します。
この重みを支えるため、妊婦さんは無意識に腰を反らせる「反り腰」の姿勢（骨盤前傾）になります。
この時、赤ちゃんの成長で引き伸ばされた腹筋は力を失い、内臓が下垂しやすくなります。
この「反り腰」と「腹筋の機能低下」がセットになった状態は、産後すぐには元に戻りません。
これが、産後のぽっこりお腹や慢性的な腰痛の直接的な原因となります。

「帝王切開は産道を通っていないから骨盤矯正は不要」というのは、大きな誤解です。
上記で説明した2つの原因、すなわちリラキシンによる靭帯の弛緩と妊娠中の姿勢変化は、分娩方法に関わらず、すべての妊婦さんに共通して起こる変化です。
むしろ、帝王切開の場合は腹筋や子宮の傷口をかばうため、さらに不自然な姿勢がくせになりやすく、ゆがみを助長するケースも少なくありません。
したがって、帝王切開でご出産された方にも、産後骨盤矯正は等しく重要です。

痛みの根本改善

骨盤の骨の配列を整えることで、特定の関節や筋肉にかかっていた過度な負担が取り除かれ、育児中のつらい腰痛や股関節痛、恥骨痛の根本的な改善が期待できます。

体型・プロポーションの改善

前に傾いたり開いたりした骨盤を正しい位置に戻すことで、下垂していた内臓が本来の位置に戻り、ぽっこりお腹の解消につながります。
また、股関節周りのバランスが整うことで、下半身太りに見えていたラインがスッキリします。

尿もれの改善・予防

骨盤矯正と並行して、骨盤の底で内臓を支える骨盤底筋のトレーニングを行うことで、尿道を締める力が回復し、くしゃみや咳をした時の「ヒヤッ」とする尿もれの改善・予防に繋がります。

代謝アップと冷え・むくみの改善

骨盤が整うと、圧迫されていた血管やリンパ管の流れがスムーズになります。
これにより血流が改善し、基礎代謝の向上や、慢性的な冷え・むくみの改善が期待できます。

メンタルヘルスの安定と自信の回復

身体が痛いという状態は、それだけで精神的なストレスとなります。
身体的な不調が緩和されることで育児にも余裕が生まれ、産後うつのリスク低減にもつながります。
また、体型が戻ることで自信を取り戻し、ポジティブな気持ちで育児に向き合えるようになります。

産後骨盤矯正には、一般的に「ゴールデンタイム」と呼ばれる最適な時期があります。
これは、産後1ヶ月〜6ヶ月頃までの期間を指します。
この時期は、まだホルモン「リラキシン」の影響で骨盤周りの靭帯が柔軟であり、骨盤が「動きやすく＝矯正しやすい」時期になります。
このゴールデンタイムを過ぎ、ゆがんだ状態のまま靭帯が固まってしまうと、その後の矯正がより困難になったり、多くの時間を要したりする可能性があります。

分娩方法別の開始目安

最適な開始時期は、お一人おひとりの回復状況や分娩方法によって異なります。

自然分娩の場合： 産後1ヶ月検査後〜

産後1ヶ月検査で、医師に子宮の回復状態などをチェックしてもらい、問題がなければ開始できます。
悪露（おろ）の状態が落ち着き、会陰切開の傷などが癒合し始めるこの時期が最適です。

帝王切開の場合： 産後2ヶ月検査後〜

帝王切開の場合は、腹部の傷口への負担を最優先に考慮する必要があり、無理は禁物です。
産後2ヶ月以降の検査で医師の許可を得てから、慎重に開始することが必須です。

当院は、単なるリラクゼーションや一時的な痛みの緩和ではなく、「ゼロ整体」の哲学に基づいた「根本改善」を目指す整骨院です。
産後のママが、痛みや不調に悩まされることなく、笑顔で育児に専念できる身体を取り戻すこと。
そして、その先の人生も健康で美しくいられるための「土台」を再構築すること、それが私たちの施術方針です。

産後の骨盤矯正に必要な回数は、個人のゆがみの程度、生活習慣、筋力、そしていつからケアを始めたかによって大きく異なります。
あくまで一般的な目安として、出産後の骨盤の開きやゆがみを改善し、インナーマッスルで安定させるためには、合計で10回〜15回程度の施術を推奨しています。
当院では、通院の頻度についても、ママのライフスタイルに合わせて柔軟に対応します。
育児や家事の状況、通いやすさ、そして何よりお子様のご機嫌なども考慮し、無理のない最適なケアプランを一緒に作成しますのでご安心ください。

初回料金の目安

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※この料金には、詳細なカウンセリング、原因分析、および個別プランの策定を含む「包括的な施術パッケージ」の費用が含まれます。

産後骨盤矯正を検討される際、費用や保険に関するご質問を多くいただきます。
ここで明確にご説明いたします。
結論から言うと、産後骨盤矯正という名目での施術は、原則として健康保険の適用外です。
健康保険制度は、病気やケガといった施術を対象としています。
産後の骨盤のゆがみや、それに伴う慢性的な腰痛、体型改善などはコンディショニングや予防とみなされるため、保険適用外となります。
ただし、以下のようなケースは保険適用となる場合があります。

急性のケガ

「赤ちゃんを抱き上げた際にギックリ腰になった」「階段で足を捻った」など、「いつ、どこで、どうやって」痛めたかが明確な急性の外傷は、健康保険の適用対象となります。

健康保険が適用されない自費施術であっても、「回復目的」であれば、医療費控除の対象となる可能性があります。

条件1

施術者が柔道整復師などの国家資格保有者であること。

条件2

施術が美容やリラクゼーションではなく、回復目的であること。
例えば、産後の骨盤のゆがみに起因する重度の腰痛や恥骨痛があり、その回復のために国家資格者が施術を行った場合、その費用は医療費控除の対象として申告できる可能性があります。
領収書は大切に保管し、詳細はお近くの税務署にご相談ください。

安全に施術を受けていただくため、以下の点にご留意ください。

開始時期の厳守

自然分娩の方は産後1ヶ月検査後、帝王切開の方は産後2ヶ月検査後の医師の許可を必ず得てください。

悪露（おろ）の状態

産後の出血である悪露の量がまだ多い時期や、鮮血が続いている時期は、子宮が回復途上です。
施術はまだ早い場合が多いため、量が減り、色が茶色っぽくなるまでお待ちください。

体調の確認

産後の身体は非常にデリケートです。
発熱がある、寝不足で体調が優れない、傷口が痛むなど、少しでも不安がある場合は、決して無理をせずご相談ください。