足底筋膜炎

足底筋膜炎は、臨床で最も一般的に見られるかかとの痛みの原因疾患の一つです。
足の裏には、かかとの骨から足の指の付け根に向かって扇状に広がる、強靭な繊維状の組織があります。
これを足底筋膜（そくていきんまく）と呼びます。
この足底筋膜は、私たちの足にとって非常に重要な役割を担っています。

アーチの維持

足の土踏まずを弓の弦のように張り、体重がかかったときにアーチが崩れるのを防ぐ、静的な支えとして機能します。

衝撃吸収

歩いたり走ったりする際の、地面からの衝撃を吸収するクッションの役割を果たします。

推進力の伝達

歩行時に地面を蹴り出す際、足底筋膜が巻き上げられることで足部全体の剛性を高め、推進力を生み出します。

足底筋膜炎とは、この足底筋膜、特にかかとの骨への付着部に過度な負担が繰り返し加わることで、微細な損傷や変性が生じ、痛みを引き起こす状態を指します。

歴史的に筋膜炎と呼ばれてきたため、一般的なケガと同じ炎症だと思われがちです。
発症初期や急性期には確かに炎症反応が存在します。
しかし、数ヶ月以上痛みが続く慢性的な症状では、活動的な炎症は収まっており、むしろ組織が修復されないまま硬く、もろくなってしまう変性という状態に移行していることが近年の研究でわかっています。

この「変性」した組織は、コラーゲン線維の配列が乱れ、柔軟性を失い、修復プロセスが停止した状態です。
これが、単なる湿布や痛み止め（抗炎症薬）だけでは、慢性化した足底筋膜炎がなかなかよくならない理由です。

整形外科でレントゲンを撮ると、「かかとの骨にトゲができています。これが痛みの原因です」と説明されることがあります。
しかし、多くの研究で、この骨のトゲと痛みの間に明確な相関関係はないことが示されています。
大きなトゲがあっても全く無症状の人もいれば、トゲがなくても激しい痛みを訴える患者さんも多くいます。

このトゲは痛みの原因ではなく、足底筋膜が付着部を長期間引っ張り続けた結果としてできる二次的な石灰化です。
したがって、施術の目標はトゲを取り除くことではなく、トゲができてしまうほどの足底筋膜への過剰な緊張を取り除くことに置かれるべきです。

足底筋膜炎は、単一の原因ではなく、個人の「組織の耐容量」を日々の「負荷」が上回ったときに発症します。
その要因は多元的です。

過負荷（オーバーユース）

スポーツ活動

ランニングやジャンプなど、繰り返し衝撃が加わる動作。
特にアスファルトなど硬い路面での走行はリスクを高めます。

職業

教師、工場作業員、警察官など、長時間の立ち仕事。

内的・全身的要因

加齢

40代〜60代によく起こります。
加齢により組織の柔軟性や水分量が低下し、変性が起こりやすくなります。

肥満・体重増加

体重が増えるほど、足底にかかる負荷は単純に増大します。
これは最も強力なリスク要因の一つです。

運動不足

足の筋力が低下すると、アーチを支える能力が落ち、筋膜への依存度が高まります。

外的・環境要因

不適切な履物
クッション性が低い靴、底が薄く硬い靴、サイズの合わない靴の使用。

身体的要因

当院が最も重視するのが、この身体的要因、特に運動連鎖の破綻です。

足底筋膜、アキレス腱、ふくらはぎの筋肉は、かかとの骨を介して機能的につながっています。
ふくらはぎやアキレス腱が硬く、柔軟性を失うと、歩行時に必要な足首の可動域が制限されます。

しかし、身体は前に進むために、この可動域不足をどこかで補おうとします。
その結果、足首の代わりに土踏まずが内側へ過剰に倒れ込む扁平足という代償動作が起こります。
この偏平足こそが、足底筋膜を機械的に引き伸ばし、かかとの付着部に強大な牽引ストレスを発生させる根本的な原因となります。

メカニズム

アーチが崩壊し、柔軟すぎる状態です。
体重がかかるたびにアーチが潰れ、足底筋膜は常に過剰に引き伸ばされるストレスにさらされます。

アプローチ

筋力強化とアーチのサポートが最優先です。

メカニズム

アーチが高く、硬すぎる状態です。
足がしなる能力に欠け、着地時の衝撃吸収が不十分になります。
衝撃はダイレクトにかかとに伝達されます。

アプローチ

衝撃吸収と柔軟性の獲得が最優先です。

最大のリスクは慢性化です。
急性期の炎症が適切に処置されないと、組織が修復プロセスを停止した変性期へと移行します。
こうなると、回復は格段に困難になります。

痛みは足だけに留まりません。
かかとの痛みを放置すると、私たちは無意識に痛みを避ける歩き方を学習します。

例えば、つま先だけで歩いたり、足の外側に体重を乗せたりします。
この不自然な歩き方は、運動連鎖を介して上へと伝わり、足関節、膝、股関節、さらには骨盤や腰椎にまで過剰なストレスをかけます。
その結果、二次的な膝痛、股関節痛、または腰痛を引き起こす可能性があります。
足底筋膜炎の放置は、全身の運動障害の引き金となり得るため、早期の適切な処置が重要になります。

かかとの痛みの原因は足底筋膜炎だと自己判断するのは危険です。
特に施術家には、重篤な疾患を見逃さないことが重要となります。

踵骨骨端症

10歳前後の小児に多い成長痛の一種。
痛む場所がアキレス腱付近であることが多いです。

疲労骨折

スポーツ選手や骨粗鬆症の方に見られます。
高所からの転落や繰り返しの衝撃が原因で、安静時にも痛み、強く腫れることがあります。

足根管症候群

かかとの内側を通る神経が圧迫される疾患です。
痛みと共に「痺れ」「灼熱感」「知覚鈍麻」を伴うのが特徴です。

腰椎由来の関連痛

腰の神経が圧迫される、いわゆる坐骨神経痛が、かかとに関連痛を引き起こすこともあります。
あげお運動公園前鍼灸・整骨院/整体院では、これらの疾患との鑑別を慎重に行い、必要に応じて医療機関の来院をお勧めしています。

「その痛みの原因は足の裏以外にある」
これが、当院のアプローチの核心です。
患者様の痛みは足底にありますが、そこはあくまで結果です。
私たちは、詳細なカウンセリングと検査を通じて、なぜ足底筋膜に負担がかかり続けているのか、その真の原因を特定することから始めます。
その原因が、硬くなったふくらはぎやお尻の筋膜であれば、そこを施術いたします。
もしそれが骨盤のゆがみやインナーマッスルの弱化であれば、そこを施術します。
これが、全国のゼロスポグループで年間約5万人の患者様から支持される、当院独自の施術哲学ゼロ整体 の考え方です。

患者様一人ひとりの足型、活動レベル、慢性度、そして根本原因に合わせて、次の施術を最適に組み合わせてご提案します。

ゼロ整体

当院の施術の土台です。
痛む足底だけでなく、運動連鎖を介して足底に過剰な牽引ストレスをかけているふくらはぎや臀部、大腿部などの筋膜の硬さを見つけ出し、手技によって解放します。
また、骨盤や足関節のゆがみが根本原因である場合は、矯正専用のトムソンベッドを使用します。
これは、患者様の身体への負担を最小限に抑え、「ボキボキ」しない安全な方法で骨格を正しい位置へ導くことができる特殊なベッドです。

鍼灸施術

特にふくらはぎの硬さが原因となっているケースや、慢性化してよくなりにくいケースにおいて非常に強力なアプローチです。

トリガーポイント療法

ふくらはぎの深層筋にある痛みの引き金は、手技では届きにくいことがあります。
鍼施術は、この深層の硬結に直接到達し、筋肉の緊張を深部から緩和させることができます。

血流改善

東洋医学には「不通即痛（ふつうそくつう）」という言葉があります。
これは循環が悪くなると痛みが出るという意味です。
慢性化した変性組織は血流が悪くなっています。
鍼で刺激することで局所の血流を劇的に改善させ、組織の修復プロセスを再起動させます。

ハイボルト施術

高電圧の電気刺激を用いる最新の物理療法機器です。
ハイボルトには2つの重要な役割があります。

検査

痛みの原因となっている深層部の神経や筋肉を特定する検査の役割を果たします。

施術

組織の修復を促進し、炎症や疼痛を強力に抑制する施術の役割を果たします。
特に痛みが強い急性期に有効です。

EMS（楽トレ）

施術によって痛みが取れても、身体を支える筋肉が弱いままだと、ゆがみが再発し、痛みもぶり返してしまいます。
特に扁平足タイプの方は、アーチを支える足底の筋肉や、体幹のインナーマッスルが弱化しているケースが多く見られます。
楽トレ は、寝たままの状態で、自力では鍛えにくいインナーマッスルを効率的にトレーニングする機器です。
30分間で約9000回の筋収縮を促し、再発しない身体作りをサポートします。

テーピング

アーチ構造を補強し、足底筋膜への直接的な牽引ストレスを軽減するために非常に有効な保存療法です。
練習や試合が近いアスリート、立ち仕事が休めない方などに、足の状態に合わせて最適なテーピングを行います。

当院では、患者様一人ひとりのお身体の状態に合わせた最適なプランをご提案します。

根本改善を目指すプランの初回料金目安

特別キャンペーンとして初回1,980円（税込）！
詳しくはこちら
※この料金には、詳細なカウンセリング、原因分析、および個別プランの策定を含む「包括的な施術パッケージ」の費用が含まれます。

自費施術メニュー（2回目以降の目安）

ゼロ整体：3,300円〜4,840円（税込）
鍼灸：3,300円〜4,840円（税込）
HV（ハイボルト）：1,780円〜3,300円（税込）
EMS（楽トレ）：4,400円（税込）

※症状や施術範囲によって料金は変動します。
※お得な回数券などもご用意しております、お気軽にご相談ください。
※各種自費メニュー学生割引あります。
詳しくはお問い合わせください。

多くの患者様から「足底筋膜炎は保険がききますか？」とご質問いただきます。
結論から申し上げますと、慢性的な足底筋膜炎の施術は、健康保険の適用対象外となり、自費施術となります。

健康保険が適用されるのは、「いつ・どこで・どうやって」痛めたかという原因が明確な急性の外傷の場合のみです。
長期間続くかかとの痛みや、明らかな原因がない慢性の症状は、保険適用が認められていません。

当院では、保険が適用できる症状か否かを初回のカウンセリングで明確に判断し、患者様にご説明いたします。
保険適用外の症状に対して、保険を使った安価なマッサージを繰り返すことは、根本改善から遠ざかるだけでなく、不適切な保険請求にもあたります。
私たちは、自費施術だからこそ提供できる、最新の機器と高い技術を組み合わせた「根本改善」のための施術に自信を持っています。

ゼロ整体

痛みの根本原因である身体のゆがみや、ふくらはぎ・臀部などの筋膜の硬さを解消します。

鍼灸施術

慢性化してよくなりにくい痛み、深層筋の硬さ、血行不良に直接アプローチします。

EMS（楽トレ）

特に扁平足タイプの方のアーチ機能の回復や、再発予防のための体幹強化に最適です。

アイシング

炎症が起きているため、冷やすことが最優先です。
ビニール袋に氷と少量の水を入れ、15〜20分程度、感覚がなくなるまで冷やします。

安静

痛みの原因となる活動（ランニングなど）を中止します。

NG行動

この時期に温めたり、強くマッサージしたりすると、炎症が助長され悪化します。

お風呂

血行不良と組織の硬さが痛みの主因です。
ぬるめの湯船にゆっくり浸かるなどして温め、血行を促進し柔軟性を高めます。

ストレッチ

施術の核となります。

足底筋膜ストレッチ
座った状態で、手で足の指全体を掴み、ゆっくりと甲側へ反らせます。
足裏が突っ張る位置で10〜20秒キープします。
特に起床直後、足を着く前にベッドの上で行うと非常に効果的です。

アキレス腱・ふくらはぎストレッチ
壁に手をつき、足を前後に開きます。
後ろ足のかかとを床につけたまま、「膝を伸ばした状態（腓腹筋）」と、「膝を軽く曲げた状態（ヒラメ筋）」の2種類を各20〜30秒行います。

ボールマッサージ

ゴルフボールやテニスボールを床に置き、足裏（特に土踏まず）で心地よい圧をかけながら前後に転がします。

一度改善しても、生活習慣が変わらなければ再発のリスクは残ります。

足底の筋肉を鍛える

特に扁平足タイプの方は、アーチを支える筋肉を鍛えることが根本的な予防に繋がります。

タオルギャザー
床に置いたタオルを、かかとを動かさずに足の指だけで手繰り寄せる運動です。

靴とインソールの見直し

クッション性に優れ、かかとがしっかりした靴を選びます。
アーチが崩れている方は、インソール（足底挿板）でアーチをサポートすることも極めて有効です。

体重の管理

体重の増加は、足底への負荷を直接増大させます。

痛みを我慢して運動を続けない

これが慢性化を防ぐ唯一の道です。
痛みや違和感を覚えたら、運動を中断し、負荷を管理してください。