腱鞘炎・ばね指

主に手首の親指側で発生する狭窄性腱鞘炎です。

関与する腱

親指を伸ばす「短母指伸筋腱（たんぼししんきんけん）」と、親指を広げる「長母指外転筋腱（ちょうぼしがいてんきんけん）」。

場所

上記の2本の腱が通る、手首の親指側にある第1区画という腱鞘で起こります。

症状

瓶の蓋を開ける、物をつかむ、タオルを絞るといった動作で、手首の親指側に鋭い痛みや腫れが生じます。

指の付け根で発生する狭窄性腱鞘炎です。

関与する腱

指を曲げるための「屈筋腱（くっきんけん）」。

場所

指の付け根には、腱が浮き上がらないように押さえている靭帯性腱鞘またはプーリーと呼ばれるトンネルがあります。
特にA1プーリーという場所で炎症と狭窄が起こりやすいです。

症状

炎症によって腱の一部がこぶのように肥厚したり、A1プーリー自体が厚くなったりすると、腱の通り道が狭くなります。

初期：指の付け根の圧痛、こわばり。
中期：指を伸ばそうとすると、肥厚した腱がA1プーリーに引っかかり、力を入れると「カクン」とバネのように通過する「弾発現象（だんぱつげんしょう）」が起こります。
後期：引っかかりが強くなり、指が曲がったまま自力で伸ばせなくなるロッキング状態になることもあります。

最も一般的で分かりやすい原因が、指や手首の反復的な使いすぎです。

PC作業

キーボードのタイピング、マウスの長時間のクリックやスクロール。

スマートフォン操作

特に片手でスマホを持ち、親指で画面をスワイプする動作は、親指と手首に極度の負担をかけます。

家事・育児

料理、裁縫、そして特に育児中の授乳や抱っこの姿勢は、手首に持続的な負荷をかけます。

職業・趣味

美容師、料理人、楽器演奏、工場での作業など。
これらの動作が繰り返されることで、腱と腱鞘の間に過度な摩擦が生じ、炎症が引き起こされます。

特に女性において、腱鞘炎・ばね指が起こりやすい特定の時期があります。
それは妊娠・出産期と更年期です。
この背景には、女性ホルモンであるエストロゲンの変動が深く関わっています。
エストロゲンには、腱や靭帯の柔軟性を保ち、組織をしなやかにする働きがあると考えられています。
しかし、産後や更年期にエストロゲンが急激に減少すると、腱組織そのものが硬く、もろくなりやすい状態になります。
つまり、今までと同じ家事や仕事の量でも、組織が耐えられなくなっている状態です。
これが、この時期の女性が軽い動作でも腱鞘炎を発症しやすい大きな理由です。

特定の基礎疾患や体質が、腱の質そのものを変化させ、リスクを高めることがあります。

糖尿病

高血糖が続くと、全身の組織が硬くなりやすいため、ばね指などを併発しやすいとされています。

関節リウマチ

自己免疫の異常により、関節だけでなく腱鞘にも腱鞘滑膜炎が起こることがあります。

透析患者

長期透析により、腱が変性しやすくなることが知られています。

加齢

年齢とともに腱や腱鞘の柔軟性や水分量が低下し、摩擦が起こりやすくなります。

「たかが手首の痛み」「指が引っかかるだけ」と軽視して放置すると、症状は深刻なレベルへと進行する可能性があります。

慢性化と悪化

痛みを我慢して使い続けると、急性の炎症がおさまらず、組織が修復されません。
やがて、腱鞘が分厚く硬くなる狭窄へと移行し、さらになおりにくい状態になります。

日常生活の著しい低下

症状が進行すると、「コップが持てない」「包丁が握れない」「PCのキーが打てない」「赤ちゃんのオムツを替えられない」など、日常生活の基本的な動作が激痛で困難になります。

ばね指の進行

ばね指が悪化すると、指が曲がったまま自力で伸ばせないロッキング状態になり、日常生活に大きな支障をきたします。

外科的手術

保存療法で改善しない場合、最終的に腱鞘切開術という手術が必要になることがあります。
多くの患者様が、仕事を休めないからと痛みを我慢しがちです。
しかし、初期の違和感や軽い痛みの段階で適切に介入することが、悪化と慢性化を防ぎ、早期回復への一番の近道となります。

あげお運動公園前鍼灸・整骨院/整体院は、運営母体であるムーヴアクション株式会社の「全ての商品に対して本物を追求します」という理念に基づき、その場しのぎの対症療法ではない施術、すなわち「根本改善」と「再発予防」を追求しています。
腱鞘炎・ばね指において、痛みが出ている手首や指は結果にすぎません。
本当の原因は、

・局所の炎症と狭窄
・患部を酷使する生活習慣
・組織を脆弱にするホルモン変動
・患部に負担をかける全身のゆがみ
など、様々な要因が複雑に絡み合っています。

当院のゼロ整体は、痛みのある局所へのアプローチはもちろんのこと、これらの根本原因を見極め、身体全体のバランスを整え、人間が本来持つ負担ゼロの状態へと導くことを目的としています。
だからこそ、当院では一時的な痛みの緩和に留まらず、なぜ痛くなったのかを患者様自身にもご理解いただき、再発しない身体作りまでを二人三脚でサポートします。

当院では、患者様一人ひとりのお身体の状態、症状のフェーズ、そして生活背景に合わせて、多彩な施術法を体系的に組み合わせます。

ハイボルト療法

まず、痛みの原因がどこにあるのかを特定するために、高電圧の電気刺激を用いるハイボルトを使用します。
これは、痛みの原因となっている深層部の組織を特定する検査の役割と、高電圧の刺激で炎症を強力に抑え、痛みを鎮静化させる施術の役割を兼ね備えています。
特にズキズキ痛む急性期の強い炎症を抑えるのに高い効果が期待できます。
皮膚抵抗が少ないため、電気のビリビリ感が苦手な方でも安心して受けていただけます。

ゼロ整体・トムソンベッド

痛みのある手首や指だけを施術しても、根本原因が全身のゆがみにあれば症状は再発します。
当院独自のゼロ整体は、手技によって局所の筋肉や腱の緊張を緩和するだけでなく、その原因となっている頸部、肩甲帯、背骨、骨盤といった全身のアライメントを調整し、運動連鎖を正常化します。
また、必要に応じて矯正専用のトムソンベッドを使用します。
これは、クッションパーツが落下する際のわずかな衝撃を利用するため、患者様の身体への負担を最小限に抑えながら安全かつ効果的に骨格の矯正が可能な特殊ベッドで、ボキボキされるのが怖い方でもリラックスして施術を受けられます。

鍼灸施術

長引く慢性的な痛み、こわばり、冷えが伴う場合、鍼灸施術が非常に有効な選択肢となります。
鍼で患部や関連するツボを刺激することで、局所の血流を劇的に改善し、炎症物質や疲労物質の排出を促します。
また、鍼刺激は体内の鎮痛物質の分泌を促すとともに、自律神経のバランスを整え、ストレスやホルモン変動による不調の改善もサポートします。
当院の施術者は全員が厚生労働省認可の国家資格保有者ですので、衛生面・安全面もご安心ください。

テーピング

「仕事を休めない」「どうしても手を使わなければならない」という患者様のニーズに応えるため、テーピングによる保護・サポートも行います。

非伸縮性テープ

固定力が強く、関節の動きを意図的に制限します。
急性期の強い痛みがある場合や、患部を強制的に安静にさせたい時に使用します。

キネシオテープ

筋肉の動きをサポートし、皮膚を持ち上げることでリンパや血液の流れを促進する効果が期待できます。
慢性期や回復期、スポーツ現場での再発予防に適しています。

EMS（楽トレ）

痛みが改善しても、身体を支える筋力が弱いままだと、再び同じ場所に負担がかかり、症状が再発しやすくなります。
当院では、寝たままで効率的にインナーマッスルを鍛えることができるEMS「楽トレ」を導入しています。
30分間で約9000回の筋収縮運動を促し、身体の土台を安定させることで、腱鞘炎・ばね指を再発しないための根本的な身体作りをサポートします。

当院では、患者様のお悩みに合わせて、保険施術と自費施術を適切にご提案します。

保険施術

「いつ・どこで・どうやって」痛めたかが明確な急性の外傷による捻挫、打撲、肉ばなれなどは健康保険の適用対象となります。

自費施術

原因が特定できない慢性的な痛み、長年のこわばり、オーバーユースによる症状、全身のバランス調整、再発予防などは保険適用外となり、自費施術となります。

産後の腱鞘炎・ばね指は、育児による「オーバーユース」と「ホルモン変動による組織の脆弱化」が同時に起こっている、非常になおりにくい状態です。
当院は産後骨盤矯正に自信を持っており、この施術は開いた骨盤を整えるだけでなく、鍼灸や整体を組み合わせてホルモンバランスや自律神経の乱れにもアプローチします。
腱鞘炎の局所施術と並行して、身体の土台である骨盤を整え、全身のバランスを改善することで、回復力が格段に高まります。

症状が出始めたばかり、または急に痛みが強くなった急性炎症期の対処法です。

安静 (Rest)
まずは患部を使わないことが第一です。

冷却 (Icing)
患部が熱を持っている場合、氷嚢や保冷剤（タオルで包む）で1回10～15分程度冷やします。
炎症を抑えるためです。

固定 (Compression / Elevation)
テーピングやサポーターで動きを制限し、安静を保ちます。

熱感やズキズキした痛みが引き、慢性的なこわばりや鈍い痛みに移行した時期のケアです。

温熱 (Warming)
患部を温めることで血流を改善し、硬くなった組織の柔軟性を回復させます。
お風呂上がりなど、身体が温まっている時にケアするのが最適です。

ストレッチ (Static Stretch)
痛みのない範囲で、ゆっくりと筋肉を伸ばします。
反動をつけたり、強く振ったりする動作は、摩擦を助長するため避けてください。

【推奨ストレッチ例】
手首のストレッチ
肘を伸ばし、手のひらを上に向けます。
反対の手で指全体をつかみ、ゆっくりと手のひら側に倒し、15～30秒静止します。
次に、肘を伸ばしたまま手のひらを下に向けます。
反対の手で手の甲をつかみ、ゆっくりと手の甲側に倒し、15～30秒静止します。

指のストレッチ
指をできるだけパーの形に大きく開きます。
反対の手で、痛む指全体を優しく手の甲側に反らし、15～30秒静止します。

スマートフォンを片手で持ち、その手の親指で操作すると指への負担が大きくなってしまいます。
できるだけ「両手で持つ」、または机に置いて操作することを心がけてください。

また、手首が反ったり曲がったりしないよう、キーボードやマウスの位置、椅子の高さを調整し、手首がまっすぐな状態を保てるようにしましょう。

特に慢性期や予防期において「冷え」は禁物です。
血流の悪化は組織を硬化させ、炎症リスクを高めます。
冬場や冷房の効いた室内では、サポーターやアームウォーマーを活用し、手首や前腕を積極的に保温しましょう。